交通事故と脳梗塞の因果関係

交通事故でも特に頸部、頭部への衝撃が加わる事故において、事故後に発症した脳梗塞が問題になるケースがあります。争点になるのは、発症した脳梗塞が、事故に起因するものなのかどうかということです。事故が脳梗塞を引き起こしたと断定しにくい点が、問題を複雑にします。

仮に、定期的な検診で異常なしと診断されていた方でも、事故が原因で脳に障害を起こすケースもないわけではありません。実に判断の難しいところであります。

脳梗塞のメカニズムとは?

おおまかに説明しますと、脳を走る血管に血栓が発生し、そこを通る血流が滞る事により、脳部に障害が起きるのが脳梗塞です。梗塞が発症すると全身麻痺や視覚障害、言語障害などが引き起こされるのはよく知られているところです。

脳そのものと共に脳附近の頸部打撲により、内頸動脈が圧迫、及び、損傷されることにより発症する例も報告されています。つまり、追突事故でも後々脳梗塞に陥る危険性がある、という事です。

見極めが非常に難しいのが事故後の発症です。

脳梗塞では、椎骨動脈損傷により、その箇所に生じた血栓が小脳の動脈を塞ぐという事例も報告されています。頭部のみならず、首への衝撃も梗塞に結びつく可能性を秘めていると言う事なのですが、このケースの厄介なところが、直接の外傷患部が「首」であったというところです。

頸部で起こった異変が、突発的な小脳梗塞を起こし、患者を死に至らしめるという例では、原因特定までに時間がかかる(解剖を伴って初めて解る)という事もあり得ます。ただし、この場合でも、交通事故との因果関係を決定づけるためには多くの判断材料が必要になるのは言うまでもありません。

症状の発症は、事故後、すぐとは限りません。

事故と脳梗塞の関連を、決定づけるのに、判断を難しくさせている要因の一つが「症状の発症」が事故後すぐに起きるとは限らないと言う事です。骨折や裂傷などは一目見て診断できますが、人体の内部で密かに進行している梗塞においては、患者の容態が急変してから初めて解ります。

急にろれつが回らなくなったり、半身にひどい痺れが生じたり、寝起きが出来なくなったりといった具合です。12~48時間の間に発症する例が多いそうですが、75日後に発症したという報告もあり、いつ頃その症状が出るかは明言出来ません。

ですから、果たして現れている症状が交通事故に起因するものかどうかの判断がより難しくなるのです。

患者の病歴も普段から明確にしておきましょう。

患者の病歴を事細かに整理しておくのも、梗塞の要因究明には重要です。定期的な検診のみならず、任意の人間ドックも積極的に受診し、普段の個人の健康データを把握しておきましょう。「いざという時」(が、起こらないのが望ましいですが)の為に、健康状態を把握しておくと良いです。

専門医の先生方の治療の助けにもなりますし、むやみに療養を長引かせなくても良くなるかも知れません。

もしも事故に巻き込まれたら、交通事故の症例を多く扱っている医療機関や医師を頼りましょう。

情報提供のツールが最近は多く用意されています。地方自治体の窓口、インターネットの病院のサイト、電話での救急相談なども活用してみて下さい。症例数を多く扱っていれば、それだけ的確な判断を下すスピードも上がります。

診断スピードが上がれば、当たり前の事ではありますが、完治率も上がります。また、脳幹部の症例で恐ろしいのはやはり後遺症という事でしょう。そして、重傷にもなりやすいのが、脳に損傷を受けた場合です。素人判断で行動するのではなく、より専門的な機関への相談は躊躇せず行うのが懸命と言えるでしょう。

契約している保険も確認して下さい。

医療費にしろ、物損費にしろ、人身事故での慰謝料にしろ、一気に多額の金銭が必要になる時は、保険の出番です。しかしながら、規約次第では、保険金が支払われないケースもあります。通常の交通事故での外傷では支払われる保険金ですが、脳梗塞と交通事故の因果関係が判然としない場合、全く支払われないという事も考えられます。

交通事故でのとりあえずの入院費は下りたとしても、日にちが過ぎた後の後発の発症には専門分野からの明確な証明が求められるのが常です。ですから、今一度、契約済みの加入保険の規約をよく読み、その保険がどの程度をカバーしてくれるのかを、改めて把握しておくのも大切な事です。

場合によっては弁護士も頼って下さい。

別途、費用は必要になりますが、弁護士に相談する事も視野に入れておいて下さい。特に、交通事故において加害者、被害者が分かれる場合、第三者を挟まないと話が進まないケースがあります。また、保険会社から思うように支払いが無い場合、弁済に必要になってくる多額の金銭は自腹という事になり、経済的にも苦しい状態となります。

さらに、事故当事者に冷静な判断も難しいと思われる事もあり、事務的に事故後の処理をするという意味では弁護士の方に知恵を出していただくというのも良い方法です。例えば、民事調停をするにしても、資料を揃えたり、専用書類を提出したり、煩雑な作業が続くので素人が一から全てを行うとなるとそれだけで精神的にも参ってしまうでしょう。

民事に強い弁護士、刑事をよく担当する弁護士、それぞれが得意とする分野もあることですから、交通事故をよく扱い、同時に事故後の後遺症訴訟にも詳しい方を頼りにすると話はスムーズかもしれませんね。

高齢者が関わる交通事故の問題点

弁護士の活用は、相手方だけでなく、保険会社にも有効です。

ちなみに、なのですが、第三者を入れての話し合い、でイメージされるのは、相手方との折衝が多いと思います。相手方と言い分が食い違った時に第三者が助言することにより話が進みやすくなるのは想像できるでしょう。そればかりでなく、保険会社を相手取る時にも、法律に強い弁護士は頼りになるのです。

交通事故と脳梗塞の因果関係が認められない場合、不払いになる保険金ですが、これを大きく覆す事も可能です。関連⇒交通事故 ... アディーレ

因果関係を認められた場合に全額受け取れる保険金が、因果関係が不明瞭でも半額程度が受け取れる場合があるのです。

これを元手に更に裁判をする事も可能で、結果的に満額を支払ってもらえる可能性もあるわけです。辛い後遺症に悩まされている上に、単なる泣き寝入りでは実に悲しいですよね。そういう意味でも、きちんと声を上げて、助けを求める事も考えていきたいものです。

何でも一人で解決しようとしなくても良いのです。

病気が完治したとしても、その後も事故の関係者と折衝していかなければならない場合もあります。苦しいリハビリを延々と繰り返さなければならない事もあるかもしれません。心置きなく日常生活を送るには時間がかかることでしょう。

その中でもしも、心が折れそうになっても、重要なのは決して一人で何とかしようと思わない事です。小さな心境の変化で構わないのです。周囲の人々に打ち明けてみましょう。根本的な解決にはならないから、と最初から結論づけるのではなくて、吐き出す事でわずかでも自分の重荷を取り払ってみましょう。

差し伸べられる援助の手は、きっとあちこちに用意されているはずですから。